学習障害、書字表出障害(ディスグラフィア)のある子に合った勉強法と親ができるサポート

2026年6月5日更新

文字を書くことが難しい子

「書くのが苦手」なのは、やる気や努力のせいではありません

「漢字の宿題が何時間も終わらず、毎日親子でヘトヘトになる…」
「鏡文字が直らず、文字の形が大きく崩れてしまう」

このようなお子さんの様子を見て、つい「もっと頑張りなさい!」と言いたくなってしまうこともあるかもしれません。ですが、これは決して本人の「なまけ」や「練習不足」が原因ではないのです。

書字表出障害(ディスグラフィア)は、脳の中で「文字の形をイメージする力」や、「脳からの指令を手に正しく伝える力」がスムーズに働かないという特性です。

お子さんにとっては、まるで「意味のわからない複雑な記号を、必死に書き写さなければならない苦痛」を感じているような状態です。

お母さんに知っておいていただきたいのは、この特性を持つお子さんにとって、一般的な「何度も書いて覚える」という練習法は、効果が期待できないかもしれないということです。

むしろ、書くことに精一杯で「文字の意味」を理解する余裕がなくなってしまう恐れがあります。

できないことを無理に繰り返させることで、勉強そのものに強い拒否反応を持ったり、「自分はダメなんや」と自信を失ってしまったりすることこそが、大きなリスクになってしまいます。

書く苦しさを解消する「3つの学習アプローチ」

ディスグラフィアのお子さんにとって、大切なのは「字をきれいに書くこと」よりも「自分の考えを外に伝えること」です。一度「手書き」へのこだわりを横に置き、お子さんが楽にアウトプットできる別の道を探してあげるといいかもしれません。

① デジタル機器を「第2の筆記用具」にする

今の時代、表現する方法は鉛筆だけではありません。お子さんが使いやすいツールを積極的に取り入れてみましょう。

具体的な工夫
タブレットでのキーボード入力や、スマホの音声入力機能などを活用。また、学校の板書を書き写すのが大変なお子さんは、(先生に許可をもらった上で)写真撮影で記録するなどの方法もあります。最近では、学校側も「合理的配慮」としてタブレットの使用を認めてくれるケースが増えているみたいです。

うれしい効果
これまで「書く作業」に100%使っていたエネルギーを、「内容を考えること」に使うことができます。その結果、お子さんのストレスが激減し、「勉強って楽しいかも」という気持ちが戻ってきます。

② 「書く負担」を減らし、解き方を変える

白紙の状態から文字を書き起こすのはハードルが高いですが、「選ぶ」ことならスムーズにできるお子さんは多いです。

具体的な工夫
書き取り問題ではなく、できるだけ記号で選ぶ選択式や穴埋め形式の問題を用意してあげましょう。また、お母さんが代筆し、お子さんは口頭で答える「口頭試問」のような形も有効です。「書かなくていいなら答えられる!」というお子さんの意欲を逃さないことが大切です。

うれしい効果
「答えは頭にあるのに、書けないから✖」という一番悔しい思いをさせずに済みます。正解する喜びを味わうことで、少しずつ自信を取り戻すことにつながります。

③ お子さんの手に馴染む「道具」を選び直す

もしかすると、今使っている鉛筆が「細すぎる」ことや、紙との「滑り具合」が、お子さんの指に余計な力みを加えているかもしれません。

具体的な工夫
軽い力で書ける太めの鉛筆や、指の位置を固定できる補助グリップを試してみるもの一つです。ペン先の滑りが良いペンなど、お子さんが「これなら書きやすい!」と感じる道具を一緒に探してみてください。筆圧が弱い子には敢えて濃い芯(2Bや4B)を。逆に強すぎる子には滑りの良いペンが合うこともあります。

うれしい効果
手にかかる物理的な負担が減るだけで、文字を書くことへの心理的な抵抗もグッと少なくなります。

まとめ|「書くこと」の先にある、お子さんの本当の才能を伸ばすために

ディスグラフィアのお子さんにとって、学習を阻んでいる最大の壁は「勉強の内容」ではなく、実は「書くこと」そのものです。

「将来、字が書けないと苦労するのではないか」と、お母さんが不安に思うお気持ちはよく分かります。しかし、急速にデジタル化が進む今の時代は、キーボード入力や音声入力も立派な「表現の手段」として認められています。大切なのは「何で書くか」ではなく「何を伝えるか」ということです。

もちろん、手書きの良さや大切さが完全になくなるわけではありません。ですが、もし「書くこと」への苦手意識がお子さんの学びを妨害しているのであれば、無理に手書きに固執する必要はありません。

「完璧に書けなくても、学ぶ方法はたくさんある」

そんな安心できる環境を整えてあげることが、お子さんが本来持っている才能を開花させる近道になります。

ご家庭の声

娘は小学4年生ですが、学年が上がるにつれて増えていく漢字の宿題が、親子にとって負担になっていました。一文字書くのに何度も消しゴムで消しては書き直し、ノートが真っ黒になるまで頑張っても、結局うまく書けない。テストでも『答えは分かっているのに、字が枠からはみ出したり形が違ったりして✖になる。』そんなしんどい状況が続き、娘はすっかり自信を失っていました。

そんな時にえーるさんと出会い、娘の特性を相談し、お願いすることになりました。来てくれた女性の先生は『クイズ形式で答えてね』と、書くことにこだわらずに、娘の知識を正しく評価することから始めてくれました。すると、娘の口から驚くほど豊かな表現が次々と飛び出してきたんです。

『この子は書く作業が勉強の邪魔をしていただけだったのかも』と気づくことができて、私も救われた気持ちになりました。今では、学校にもタブレット使用の相談をするなど、娘が一番輝ける方法を前向きに探せるようになりました。

小学4年生 Sさんの母親より

えーる坪井

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