2026年5月22日更新
場面緘黙症の根本にあるもの「話したいのに話せない」葛藤
「家ではあんなに楽しそうに笑ってお喋りするのに、一歩外へ出ると、まるで別人のように固まってしまう…。」

そんなお子さんのギャップに、「なんでなんやろ…」と戸惑われているお母さんも多いようです。
場面緘黙(かんもく)は、お子さんのやる気や性格の問題ではありません。「話したい」という気持ちはあるけれど、強い不安から、喉の奥のほうで声が止まってしまう症状で、無意識にブレーキがかかってしまう状態になるのです。
お子さんは「声が出ない自分」と戦っています
周囲からは、「静かな子」「大人しい子」と思われていても、お子さんの心の中はそうではありません。「何か言わないと」「でも変な声が出たらどうしよう」 そんな不安から、声を出せずにいることがよくあります。
この状況を改善するために必要なのは、練習や根性ではないんです。 実は、必要なのは「声を出さなくてもいい」という100%の安心感があることなんです。周りは「早く」「言いなさいよ!」とお尻を叩くのではなく、まずはそのブレーキを一緒に優しく緩めていくことから始めてみましょう。
焦らず、ゆっくり。少しずつ「できる」を広げる環境づくり
場面緘黙(かんもく)のお子さんにとって、沈黙を破ることは、私たちが想像している以上に勇気が必要で恐怖を感じています。そんな場合、「これならできそう」と思える小さな成功体験を、一緒に見つけてあげましょう。
① 「言葉」ではなく「音」で遊ぶところから
「喋らないと」という構えを、まずは遊び心でフワッと解いていきます。
(レベル1)まずは喉を鳴らすことから慣れる
最初は意味のある言葉でなくて構いません。あくびのマネをしたり、ゴホゴホという咳払い、あるいは好きな動物の鳴き声などなんでもOKです。まずは喉から「音」を出す楽しさを思い出してもらいましょう。
(レベル2)返事は「小さな一音」で十分
頷きの代わりに「あ」や「ん」といった小さな一音が出れば大成功です。たとえ糸のように細い声でも、お子さんが勇気を出して伝えてくれたと、温かく受け止めてあげてくださいね。
(レベル3)「伝えたい!」を短い言葉に乗せて
少しずつ音に慣れたら、「できた」「うーん」といった、勉強の合間のちょっとしたつぶやきを拾っていきます。独り言のような小さな一言が、誰かに届く喜びを知ることで、お子さんの自信は少しずつ回復していきます。
② お子さんの心が「リラックス」できる空間作り
まずは、不安を抱えているお子さんが、一番自分らしくいられる環境を整えてあげましょう。
五感を穏やかに保つ場所を確保する
視界にたくさんの物が入ってくると、それだけでお子さんの心は疲れてしまいます。勉強するスペースはできるだけスッキリ整頓し、「ここなら落ち着ける」と思える静かな場所を用意してあげましょう。
「声以外」の対話からで大丈夫
「言わないと伝わらない」というプレッシャーは、一度手放しましょう。指さしや頷き、あるいはノートや紙への落書き……。どんな形でも「伝わった!」という経験を繰り返すことで、お子さんの心は軽くなり、結果として「話してみたい」という意欲が自然と湧き上がってきます。

ご家庭で今すぐできる!お子さんの心を解きほぐす「安心の声かけ」
場面緘黙(かんもく)のお子さんと向き合うとき、大切なのは「いかに声を出させるか」ではなく、まずは、お子さんに、ずっしりかかっているプレッシャーを、一つずつ下ろしてあげることです。
お子さんの心が軽くなる「言い換え」のヒント
- NG
「なんで学校だと話せなくなるん?」
- OK
「本当は話したいと思ってるんやね。」
ポイント
答えられない「なぜ?」を問うのではなく、お子さんの心の「もどかしさ」を尊重してあげましょう。それだけで、お子さんの孤独感はスーッと消えていきます。
- NG
「ちゃんと言わないと、あんたが損するんやで!」
- OK
「頷いてくれるだけで、お母さんには全部伝わってるからね」
ポイント
実は、今のままの伝え方を認めてあげることが、近道なんです。お子さんは「伝わった!」という安心の積み重ねが、声を出すための心のゆとりを増やせているのです。
- NG
「外でも頑張って挨拶くらいはしなさいよ!」
- OK
「無理ならみんなの前で話さなくていいし。その代わりお母さんにコッソリ教えてね。」
ポイント
無理に人前で話させると逆効果になることも。安全な場所(お母さんと二人だけの会話)を作ることで、お子さんの心に余裕が生まれます。
- NG
(お子さんの前で)「この子、外だと全然お話しできないんです…」
- OK
あえて話せないことには触れない。
ポイント
「話せない子」ということを、お子さんの前で敢えて言わないことが最大の優しさです。それでも普通に接してもらえる、そんな当たり前の環境が、お子さんを安心させます。そんな信頼できるお母さんにだからこそ、こっそり話してくれるんです。
家庭教師が果たす役割:安心を広げる指導と連携の力
場面緘黙のお子さんにとって、家庭教師との時間は、勉強を教わるだけの場ではありません。それは、家族以外の大人と「声を出さなくても繋がれる」という、自信を育む時間でもあります。
自宅という「一番安心な場所」で、少しずつ心をひらく
学校などの集団の中では、常に「誰かに見られている」「何か言わないと」「なんて思われるんやろ」という、目に見えないプレッシャーがお子さんを苦しめています。 でも、大好きな自宅で、自分を100%受け入れてくれる先生との1対1の時間は、お子さんにとっての「心の避難所」になります。私たちえーるは、お子さんの今の状態を受け入れながら、次のような寄り添い方を大切にしています。
- 「沈黙」を温かく包み込む、待つ指導
先生は、お子さんが言葉を出せなくても全く気にしません。「話さなくても、気持ちは伝わっているから」という広い心で接します。
頷きや視線、指先の動きなどを読み取り、お子さんの「声にならない声」を汲み取る。この「待ってもらえる安心感」が、緊張でガチガチになった心を、ゆっくり解きほぐしていきます。
- お子さんの「伝えたい」を形にする
お子さんの頷きや、ちょっとした仕草を、先生が「そうか、ここはこう思ったんやね」「あ、これは少し難しかったかな?」と優しく代弁します。自分の気持ちを形にしてくれる経験を繰り返すことで、お子さんは「この先生なら、声が出なくても大丈夫」と心底リラックスし、それが結果として、最初の一言へと繋がっていくのです。
- 言葉以外のコミュニケーション
「伝えたい」という安心感が育ってきたら、好きなアニメやゲームなどの趣味の話を、筆談やタブレット、イラストなどで共有しながら心を通わせます。無理に言葉を使わなくても、一緒に笑ったり、ノートにメッセージを書き合ったり。「この先生にもっと伝えたい」というワクワク感が上回れば、お子さんは自ら声を発したいと思うのです。
ご家庭の声:安心と自信を取り戻した親子の体験談
えーるの先生との出会いで、お子さんがどのように動き出したのか。新しく寄せられた2つのエピソードをご紹介します。
事例①:イラストと筆談でつながった「自分だけ」の居場所
中学生になって学校での沈黙がより強くなり、家でも口数が減ってきた娘。そんな娘が唯一夢中になれるのが、イラストを描くことでした。えーるさんに娘の事情を伝え、家庭教師を頼むことになりました。うちに来てくれた女性の先生は、初めて会った日から娘のイラストをみて『めっちゃきれい!どうやって描いたの?』と、言葉ではなく紙に文字を書いて聞いてくれました。それから、娘は先生と交換日記のようなやり取りを続けてくれ妹のように接してくれました。ある日、娘がノートの端に小さく『数学のこの問題がわからへん』と書いていて、先生はそれを見逃しませんでした。先生は紙に解き方を書いて娘と一緒に問題を解いてくれたんです。
指導が始まって3ヶ月が経った頃、部屋から娘のクスクスという笑い声が聞こえてきました。部屋を覗いてみると、先生とイラストの話で盛り上がっていました。娘が『親以外に自分をわかってくれる人がいる』と安心したようで、言葉を発するようになり、驚いています。一時はどうなることかと心配していましたが、先生との会話を聞いて安心しました。
中学2年生 Aさんのお母さんより
事例②:動物図鑑が架け橋に。消え入りそうな「一言」が大きな自信へ
人数が多いほど話せなくなる息子は、家でも自信をなくし、口数がどんどん減っていきました。『自分はどうせダメなやつ』と卑屈になり、全てにおいて自信をなくし、勉強も全く手がつかず、どう接していいか悩んでいた時にえーるの先生に来ていただきました。
動物が好きな息子のために、先生は毎回、図鑑を使ったり、動物の絵を描いてコミュニケーションをはかってくれました。最初は頷くだけだった息子ですが、先生が『この動物知ってる?先生に教えて』と質問してくれるので、息子は得意げになり、何とか先生に教えようとホワイトボードに書いて必死に伝えていました。
ある日の指導の終わり際、息子が消え入りそうな声で『先生、…また来週ね』と言ったんです。先生はそれを聞いて、『もちろん!それまでは宿題がんばるんやで!』と最高の笑顔で返してくれました。その日を境に、息子は少しずつ言葉を口にする勇気を持てるようになったんです。今では先生が来る日を指折り数えて待っています。あの時あきらめなくて、本当に良かったです。
小学4年生 Sくんのお母さんより
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